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ポイント:Web2.0、参加型アーキテクチャ、マッシュアップ、ロングテール、フォークソノミー、タギング、ソーシャルブックマーク

Web2.0とは、そしてWeb2.0にからむ現象


Web2.0ってナニモノ?

 最近周囲でWeb2.0についての話題が飛び交うようになっています。Web2.0の紹介記事は百花繚乱ですね。正直な話、私も「Web2.0って何?」と聴かれても明確な答えはわかりません。そもそもWeb2.0の定義自体があいまいなのだから仕方が無いですね。

 よく誤解されるのは、”2.0”というバージョン番号が付いているものだから、新しいソフトウェアか何かの話だと思われている方が多いです。Web2.0について語った多くの書籍やサイトがこの誤解を解いているので、改めて私が説明する必要はありませんが、一応触れておきますと、Web 2.0とは、何か新しいソフトが出るという話ではありません。ある日突然「今日からWebが2.0にバージョンアップしました。ブラウザを替えて下さい」なんてことにはなりません。

 「Web 2.0」は、米国のIT関連では有名な出版社「O'Reilly Media」社長、O'Reilly氏が、進化を続けるWeb技術に対して「Webってなんかバージョンアップした感があるよね。もう2.0って感じじゃないか」というノリで名前をつけたもので、特定の技術を指すものではないのです。

 O'Reilly氏は素晴らしいコピーライターだと思います。Web2.0はとてもインパクトの強いネーミングで、私も最初にWeb2.0という言葉を書籍で見つけたときは「なんだこりゃ?」と食いいるように記事を読んでしまいました。

 正直言って、Web2.0という言葉から受ける印象でその記事を読んでしまったものですから、何をさして議論がされているのかが、わかりませんでした。ただ、記事の最後に書いてあった言葉が、「Web2.0とはWeb業界の様々な新しい技術を総称した概念である」と書いてあり、特定の技術を捜し求めた私の記事の読み方が間違っており、それで理解ができなかったということを理解しました。

Web2.0の一応の定義

 それでも言葉としてWeb2.0と言うものがあるわけですから、何らかの定義はあるはずです。「Web2.0とはWeb業界の様々な新しい技術を総称した概念」というのも定義のひとつなのかもしれません。

 Web2.0があるのならば、Web1.0もあろうだろうと思い調べてみるとありました。ただ、それはWeb2.0をいう言葉を効果的に説明するための後付のようです。Web1.0というのは「従来のWeb」だそうです。なんだそれは!と思わず突っ込みたくなる説明です。もう少し判りやすくいうと「Web1.0というのはHTMLの時代」との事です。比較的おとなしい静的なWebです。メディアで考えると新聞とか雑誌がWeb1.0でにあたるのではないのかと思います。

 ちなみにこれも後付でしょうが「Web1.5」というものもあり「Flashなどを多用した動くWebサイト」を「Web1.5」と総称するそうです。これはメディアで考えるとテレビやビデオといったところでしょうか。

 そこでようやくWeb2.0の話になります。「Web2.0はユーザー参加型」「Web2.0は双方向性の充実」「Web2.0はユーザーフレンドリー」などと定義もいろいろあります。目指すところは「参加型のアーキテクチャ」であると言えそうです。

 「日経SYSTEMS 5月号」ではWeb2.0が体系付けてありました。そのコンセプトを見るとなんとなくWeb2.0が見えてきます。

Web2.0に現れる現象のキーワード例

 それを表す現象として、「マッシュアップ」「ロングテール」「フォークソノミー」というあまり聞き慣れない言葉が並んでいます。ただ意味を知れば、どれもが最近トレンドになっている現象に名前がついたものだとわかります。

マッシュアップ

 「マッシュアップ」とはポップミュージックの世界でアーティストやDJが2つの曲を合わせて、ひとつの曲を作ることを意味するそうです。Web2.0で使われる場合は公開されているサービス(WebAPI)を組み合わせて新たなサービスを作る事で、Googleなどが多彩なデータを比較的簡単にオンライン地図と統合できるツールを提供しており、様々な使い方がされています。

ロングテール

 「ロングテール」とは少数の上位のではなく、多数の下位を積み上げて価値を得る事です。ニッチな商品を数多く集める事により、ベストセラー商品の売上高を越えることです。よく例に出されるのがAmazonのモデルです。概念的な説明になってしまいますが、Amazonでは本屋をネットショップという形で運用し物流や保管コストを極限まで抑えています。よって、2:8の法則でいう8の方でも、そこからの売り上げを集積することにより価値を生み出しています。このような8の商品を認知して貰うためにWeb2.0の参加型「口コミ」が有効になってきます。

フォークソノミー

 「フォークソノミー」はユーザーが自由に付けたタグによって情報を分類するというものです。「タギング」とか「ソーシャルブックマーク」とかは聞いたことがありますが、それらの技術をもっと広い意味で捉えた現象が「フォークソノミー」と呼ばれるものです。

今回は現象までを整理しました。次回はその現象を実現していく技術に関して調べてみたいと思います。

参考
「日経SYSTEMS 5月号」

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2006年05月01日 宿澤直正


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