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ポイント:教え方、伝え方、リーダー、メンバー、具体性、MORSの法則、指示の出し方

「ちゃんとやりなさい」では動けない〜メンバーへの伝え方・教え方(2)


「ちゃんとやりなさい」では動けない三つのこと

「ちゃんとやりなさい」というだけではメンバーは動けないという問題提起から、メンバーに伝え教える際に「ちゃんとやりなさい」から脱皮するには、3つの事に気を付ける必要があると書きました。

前回の時事コラム「『ちゃんとやりなさい』では動けない〜メンバーへの伝え方・教え方(1)」では、三つのうち「一方的に話しては相手は納得できない」について考えました。

今回の時事コラムでは「なぜ、何を学ぶのかが曖昧では動けない」について考えてたいと思います。

なぜ、何を学ぶのかが曖昧では動けない

曖昧さを排除し具体化するために役立つ定義に「MORSの法則(具体性の法則)」というものがあります。

計測できる(Measured)、観察できる(Observable)、信頼できる(Reliable)、明確化されている(Specific)の4つの具体化の頭文字をとったものです。

「計測できる」とは、文字通り計測(カウント) できる、もしくは数値化できることを意味します。 「観察できる」とは、誰が見ても特定の行動をしているかどうかがわかるということです。 「信頼できる」は、複数の人が見て同じ行動だと認識できるということです。 「明確化されている」は「誰が何をいつまでにやるのか」といったことが明確であることです。

つまり「MORSの法則」は具体性を担保するだけはなく、できたかできていないかの評価(チェック)をしやすくします。

「もっと頑張れ」は禁句にする

「ちゃんとやりなさい」に通じる言葉ですが「もっと頑張れ」という言葉は具体的でない人のセリフです。 もちろん、軽い激励のつもりで言うこともあると思いますが、すでに頑張っているメンバーにこの言葉をかけるのは間違っています。

頑張っているメンバーに「もっと頑張れ!」と言っても、メンバーはこれ以上何を頑張ればよいかわかりません。

目の前にいるメンバーがなにに困り、なにをしたら成長になるのかを具体的に考えず、「もっと頑張れ」と言ってもメンバーの成長はありません。 「頑張れ」は禁句にしたことによって、リーダーもメンバーも具体的になにをするかを考えるようになっていく場面を幾度かみています。

普段から、次にすることを指示したり、「次になにをすればいいのか?」と質問したりすることで、自然とメンバーが日々の仕事で「次になにをすればいいのか」ということを自発的に考えはじめるようになります。

指示や伝えて際に気を付けること

私は、伝えて教える際に気を付けていることが二つあります。 実際には、なかなか上手くいかず、失敗ばかりですが…

ひとつは、今回の時事コラムのテーマでもありますが、抽象的な表現や指示語は使わない…ことです。

具体的な意図や行動を具体的な言葉で伝えれば、誰でも迷わず行動にうつることが可能になります。 細かすぎる伝え方や教え方は「説得」になってしまいますが、抽象的な表現や指示語は混乱を招きます。

たとえば「なるべく早く提出しなさい」「アンケートのサンプル数をもっと増やしてほしい」といった抽象的な表現や、「あの資料」「例の打ち合わせ」といった指示語も避けなけた方がよいでしょう。

もうひとつは「劣後順位(やらなくてよい順位)」を示すことです。 つまりは「やらなくていいこと」を明確に示してあげることです。 通常「絶対やってはいけないこと」は、はっきり伝えても「やらなくていいこと」までは気がまわらない人が多いです。

その結果、成果につながる行動以外のことに時間やエネルギーを割き、オーバーワークになっていることが考えられます。

次回は、「ちゃんとやりなさい」から脱皮するための三つのことの最後である「尊重の気持ちなしでは相手に届かない」について考えてみます。

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2013年10月28日 宿澤直正


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