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ポイント:意欲を引き出す教え方、教える側のプライド、間違いを認める、信頼して依頼、メンバーに感謝、学び手との「距離感」、教える側の「姿勢」

チームリーダーのための意欲を引き出す教え方・伝え方(2)


前回のコラムから「意欲を引き出す教え方」について書いています。 私の勝手な分類で、人間の意欲の源を「楽しいと感じる」「認められたい」「目標を実現したい」の三つと想定し、その順番に考えを整理しています。

前回「楽しいと感じる場を作る」について書いてみましたが、今回は「相手を認める」について考えてみたいと思います。

1.学び手から間違いを指摘されたら認める

時々あるのですが、教える側の妙なプライドが邪魔をすることがあります。 人間であるかぎり、間違いや失敗から逃れることはできません。 それが、単純な間違いであるならば、謝って訂正するのは困難なことではありません。

訂正するのが困難なのは、教える側の思い違いや、認識違いによる深い間違いを聞き手から指摘された場合です。 こんなとき、教える側は、間違いをおかした自分への腹立たしさと、聞き手に指摘された恥ずかしさで、なんとも嫌な感情に襲われて、場合によっては平常心を失ってしまう場合があります。

いちばんよくないのは、間違いを隠したり、難しい理論をもち出して無理やり正当化してしまうことです。 聞き手はこのような「ごまかし」に非常に悪い感情をもちます。 教える側がプライドをもつことは大切ですが、このような形でプライドをみせるのは、教える側の未熟を露呈します。

間違いを指摘されたら、しっかりと聞き手に謝ったうえで、きちんと訂正を行います。 そんなの当たり前と思われるかもしれませんが、完璧な人間なんていません。 どんな人だって、間違えることはあるものです。

その際、自分が勘違いしてしまった理由と、正しい考え方のプロセスを示すと、聞き手にとっても、大きな「学び」となります。

2.メンバーに心から信頼して依頼をできる

私は本当に苦手なのですが、「人に何かをしてもらう」というのは本当に難しいものです。 組織の中で立場を利用した「命令」ならば簡単なのかもしれませんが、そのような状況が蔓延した組織からは人は離れていく姿を何回も見ています。

相手に本心から動いてもらうには「信頼関係」が必須で、それを構築には時間と労力がかかると思います。 同時に、その時間と労力はそのまま自分への恩恵へと変わっていくと思います。

「私がやったほうが早い」「まだまだ私にしかできない」などといった、ありがちな間違いを犯しているリーダーは多いと思います。 メンバーを信頼していないリーダーを、メンバーが信頼してくれるわけがありません。 信頼しされていないリーダーの言葉はメンバーの心には伝わらないと感じます。

メンバーに主体的に学んでもらいたい時も同じだと思います。 指示・命令は、相手に対する強制であり、強制からは信頼は生まれません。 例えば「成長して自分を助けてほしい」は依頼であり、依頼されると自分から主体的に動いてもらえる(学んでもらえる)ことが多いと感じます。 主体性を発揮してくれたメンバーに感謝することで、信頼関係が築かれていくのだと思います。

リーダーとメンバーの関係ではありませんが、私も以前は「なんでも自分でやってしまう」という間違った考えを持っていました。。 しかし、今ではたくさんの人に助けられた経験から、この間違いを腹に落とすことができました。 不器用ながら「人を信頼してお願いする」ということが少しずつできるようになってきたていると思います。

3.学び手との「距離感」を意識する

リーダーとメンバーで「教え、教わる」という関係に特化すると、教える際(リーダー)には、教わる側(メンバー)との「距離感」と意識することも大事だと感じます。

教える側と教わる側が親しくなるにつれ、教わる側は友だちのようになってきて、学ぶ姿勢に甘えが生じることがあります。 また、教える側が「雲の上の人」と思われてしまえば、「自分たちとは違うから」と、これまた話をなかなか聞いてもらえなくなってしまいます。

教える側と教わる側の距離は、遠くても近くてもダメだと思います。 このバランスを保ちながら、相手に目標を示し、ゴールまで引っ張っていくことが必要となります。

そして「距離感」を意識する際、教える側が「学ぶ姿勢」を教わる側にしっかりと伝えるとよいと思います。

教わる側は、教える側の「姿勢」をしっかりとみています。 教える側も「学ぶ姿勢」を見せ、教わる側の「学ぶ意識」に働きかけていくことが健全な「距離感」を保っていくのだと思います。

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2014年03月10日 宿澤直正


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