ポイント:コミュニケーション、情報共有、情報発信、自己顕示欲、「ありがとう」、「ネットの神」、進歩的性善説

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「ネットの神」の心理と情報共有


「自己顕示欲」と「人に認められたい気持ち」

 ちょっと前ですが、5/3報道ステーションで、「人気漫画が発売前にネット流出」のニュースをやっていました。少年コミック誌の「少年マガジン」と「少年サンデー」に連載中の人気漫画が、発売日の前日にファイル交換ソフト「ウィニー」を介して流出したそうです。また、封切前の映画がネットで公開されていたりしている報道をし、キャスターの方が「なぜこんなことをするでしょうか、自己顕示欲でしょか」のようなコメントをしていました。私もこのような行為は「自己顕示欲」からきていると思います。

 このような著作権にひっかかるような事は犯罪です。この報道に関して5/18に著作権法違反(公衆送信権の侵害)容疑で逮捕者がでたそうです。今の時代、企業の差別化の源泉はその企業にしかないノウハウ、技術そして風土、人のモチベーションといった目に見えない経営資源です。広い意味で目に見えない経営資源を例示しましたが、その中のノウハウ、技術といった部分を守るのが知的財産権です。このルールが破られてしまっては、企業のこれまで積み上げてきた財産は意味をなくしてしまいます。

 今回の事件はネットへ違法に情報を提供している人たちへの警告になったともいえます。さらに言えば、法律以前の問題で道徳に反することは、絶対にしてはいけないことです。この私の考えを明確にした上で、少し違う視点でこの事件を考えてみたいと思います。「自己顕示欲」というと負のイメージできこえますが、これを「人に認められたい気持ち」と考えてみたらどうでしょうか。

ネットに情報を提供する人々

 ネットに情報を提供する人達はどういう気持ちで情報を提供するのでしょう。それが「人に認められたい気持ち」だと思います。違法な手段で情報を提供することは絶対にしてはいけませんが、今のWeb2.0的なインターネットの使われ方を考えると「人に認められたい気持ち」を無視してはいけないと思います。私も毎週、時事コラムという方法で情報を提供していますが、それはもちろん販促の意味もありますが、「ヒトのためになりたい」そしてその先にある「ヒトに感謝されたい」「ヒトに認められたい」という気持ちからです。

 OKWAVEのような質問回答サイトに代表されるように、インターネット上の質問に対して多く回答をアップしている人と以前お話する機会がありました。その方が言うには、「いろいろな目的で回答を投稿する人がいると思いますが・・・」と前置きをされた上で、やはり「ヒトのためになりたい」そしてその先にある「ヒトに感謝されたい」「ヒトに認められたい」という気持ちからで、「助かりました。ありがとうございます。」という一言が原動力だとおっしゃっていました。

 このような方々がWeb2.0の世界を支えているのだと思います。いわゆる進歩的性善説の考え方といえると思います。

組織での情報共有促進

 さて、本題です。今から本題?と言われるかもしれませんが、一番言いたいことはこれからです。今、企業ではナレッジマネジメント(情報共有)の必要性が言われています。しかし、多くの企業では「だれも情報を書きこまない」と言うことが悩みになっています。

 「だれも情報を書きこまない」のは、情報共有の仕組みが悪い(例えば操作性が悪い、検索スピードが遅い)事が問題ではありません。この問題はもっと奥深いもので、組織、個人のモチベーションが問題となっていることがほとんどです。

 ここで出てくるのが、組織の仲間での「ありがとう」という一言です。「助かりました。ありがとうございます。」という一言がネットへのと情報提供の原動力となっているのと同じように、組織の仲間への情報提供の原動力となるのではないかと思います。

 ネットでの「自己顕示欲」からスタートした話ですが、最終的には組織の情報共有の話になりました。ネットに価値ある情報を提供することで「ネットの神」と言われる人がいるそうです。組織を助ける情報を提供することで「組織の神」になる人が出てくると、その人をお手本に、組織の情報共有も推進されるのではないでしょうか。とてもきれいごとを書いている気もしますが、情報共有推進のひとつの考え方としてはあると思います。

 組織に限らず、情報共有は「人に認められたい気持ち」と「人に感謝する気持ち」がそろうことで、その共有される知識は有益なものに成長していくと思います。情報共有ほど、その必要性はわかっているものの、実現が難しいテーマも少ないと思います。このトピックも継続的に気付きを書いていきたいです。

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2007年05月21日 宿澤直正


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