ロジカルシンキングを考える(3)~「演繹法」と「帰納法」

ポイント:ロジカルシンキング、論理展開、演繹法、帰納法

(1)ロジカルシンキングである条件

「ロジカルシンキングを考える」というシリーズでコラムを書いています。

最初のコラムである「ロジカルシンキングを考える(1)~ロジカルシンキングとは?」では、ロジカルシンキングとは「主張・結論(=論)を理由・論拠(=理)とともに構成すること」であると説明しました。

つまり、自分の主張を声高に繰り返しても、そこに根拠がなければロジカルシンキングとは言えません。
また、ち密な根拠を並べたとしても、そこに主張がなければそれもロジカルシンキングとは言えないのです。

思考が論理的で、議論が説得力を持つためには、3つの条件を満たす必要があると言われています。

1.主張が存在する
2.論拠が存在する
3.主張と論拠の関係が適切である

「論理的でない」「話が通じない」という状態は、どれかが不十分な場合であると考えられま論理展開す。

「1.主張の存在」や「2.論拠の存在」の有無は気付きやすいのですが、問題は「3.主張と論拠の関係が適切か」は見落としやすい項目です。
そのため、思考が倫理的であるためには「主張と論拠の関係」をしっかり考える必要があります。

主張と論拠の関係を「論理展開」といいます。
「論理展開」は基本的には演繹法と帰納法の2があると言われています(弁証法をいれて三つの場合もあります)。

 

(2)演繹法という論理展開

演繹法は、さまざまな前提から論理の規則にしたがって必然的に結論を導き出すやり方です。
「自分の観察・出来事」と「一般的な原理・ルール」を突き合わせて「自らの主張・結論」を導くことを言い、三段論法とも呼ばれています。

有名な例は以下のような例です。

「人間は必ず死ぬ」が【一般的な原理・ルール】です。
「ソクラテスは人間である」が【自分の観察・出来事】です。
そして「ソクラテスは必ず死ぬ」という【自らの主張・結論】を導きます。

自らの主張・結論に対して、その根拠・理由と自らの観察、一般的なルールをそろえるという意味で、論理的であり、相手にとっても納得しやすい論理展開になります。

例えば、次のような論理展開も演繹法です。

「当社のルールでは、市場調査の結果、対象者の8割が使いたいといったアプリの開発を行うことになっています。今回のマッチングアプリはアンケートをとった結果100人中85人がそのアプリを使いたいとの結果が出ました。よって今回のマッチングアプリは開発を行うこととします」

つまり、以下のようになります。

【ルール】は「当社では、市場調査の結果、対象者の8割が使いたいといったアプリの開発を行う」
【観察】は「今回のマッチングアプリはアンケートをとった結果100人中85人がそのアプリを使いたいと言っている」
【結論】は「今回のマッチングアプリは開発を行うこととする」

ただ、先のソクラテスの論理展開に比べたら、やや納得性に欠ける感じがします。

その理由については次回のコラムで考えてみたいと思います。

(3)帰納法という論理展開

帰納法は個々の観察や事実の集まりから、そこに共通する性質や関係を取り出し、一般的な命題や法則を導き出すことです。

例えば、以下のような展開になります。

【観察1】Amazonは、社是に顧客第一を掲げている
【観察2】Amazonでは、創業者が時に電話を取り、顧客の声に触れている
【観察3】Amazonでは、顧客の声は24時間以内での対応をおこことが求められている
【結論】アマゾンは顧客を大事にする会社である

帰納法は「現地現物に基づく思考法」であり、現場改善の方向性などをにはうってつけです。
帰納法の特徴として、結論がいくつも考えられるということがあります。

自分の言いたい主張の根拠づけには「演繹法」、いくつかの事実から結論を導き出すには「帰納法」が向いていると言えます。

また、帰納法に関してもその論理展開を強化するために知っておくとよいことがあります。

これも次回のコラムで考えてみたいと思います。

ロジカルシンキング関連コラム

ロジカルシンキングを考える(4)~論理展開を強めるために(演繹法編) 2017年12月17日記述
ロジカルシンキングを考える(3)~「演繹法」と「帰納法」 2017年10月29日記述
ロジカルシンキングを考える(2)~ロジカルシンキングの必要性 2017年10月15日記述
ロジカルシンキングを考える(1)~ロジカルシンキングとは? 2017年10月01日記述

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2017年10月29日 宿澤直正 記

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