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ポイント:Web2.0、参加型、消費者の行動特性、AIDMA、AISIS、フォークソノミー、情報検索の容易性、集合知、口コミ、消費者への訴求

Web2.0が消費者に与える影響


Web2.0における消費者の購買行動の変化

 以前、ネットショップをAIDASで考えるというコラムを書きました。その際、ネットショップなので、最後の顧客満足の部分としての、AIDASの最後のSである満足(Satisfaction)を重視したつもりです。

 AIDA、AIDAS、AIDMAなどいろいろな言葉の派生形があるのはご存知かもしれません。対象商品、業種業態によって、プロセスが若干変わったり、重視するプロセスが変わったりします。一般的な消費者の購買プロセスを表わすのに、一番バランス良いのは、AIDMAかなと思います。これに最後の満足のSがついていれば、一般的な消費者の購買プロセスを表わす最もよい言葉になると思います。

 AIDMAのプロセスを復習すると、以下のようなプロセスになります。

 このような書き出しで、言うのもなんですが言葉(キーワード)自体はあまり意味は無いです。大切なのは・・・

 特に、消費者の参加型であるWeb2.0が出てきてからは「消費者の購買プロセスにはどんなプロセスがあるのか」を含めて、ネット上での消費者の購買プロセスは変わってきていると思います。

検索・比較と共有のプロセスの重要性

 ネットでは、AIDMAの記憶(Memory)のプロセスは、あまり重要な位置づけではなくなっていると思います。それは、ネットで見つけた覚えておきたい情報を、コンピュータに容易に記憶ができるからです。つまり、自分の頭に記憶させる必要はなくなっているのです。

 変わって重要なプロセスになっているのは検索・比較(Search)のプロセスです。ネットでは非常に豊富な情報を、しかも安価にスピーディに取得することができます。例えば価格比較サイトとして老舗的に有名なのは価格ドットコムですが、Yahooの検索でも商品検索ができます。表示順序で「安い順」を選べば、簡単に価格に関する商品比較の情報が得られます。

 また、流行に敏感なブロガー達の書く商品の使い勝手を説明したブログや、最近増えてきたSNSでもある程度匿名性を排除した口コミで、使い勝手、品質に関する商品比較の情報も得られます。

 一軒一軒店を回りながら、自分の欲しい商品を手にとって探がすのが普通でした。ところが、ネットが普及して、どこで買っても同じような商品ならば、ネットで探したほうが安く、効率的に買える時代になりました。そこにユーザー参加(消費者からの情報発信:CGM)であるWeb2.0の考えがどんどん実現していって、自分と同じ目線の消費者の口コミがネットで知れるようになり、本来ならば手にとって買っていたであろう商品までもが、ネットで買われる時代になりつつあると思います。

 検索・比較(Search)のプロセスはWeb2.0で変わった大きな変化です。もう一つ変わった部分があります。それがShare(共有)です。フォークソノミーといわれる現象は、この部分から出てきている現象です。前述の「ネットでの口コミの活用」は消費者の情報がShare(共有)されているからできることです。

 言葉には特に意味が無いと言いつつも、現象を簡潔に表現するのに便利なので使わせていただきますが、Web2.0の考えのもとでの意思決定プロセスは”AIDMA”より”AISAS”がしっくりくると言えそうです。

変わり行く消費者への訴求

 消費者は、メーカーの広告より、口コミを信じるようになってきているとつくづく感じます。消費者は自分達と同じ目線で情報発信するCGMに注目しているのです。コミュニティのパワー・集合知の力といえます。それを具現化する道具としてWeb2.0サービスが続々と登場しています。

 消費者の行動パターンが変化しつつあるのです。それにあわせて、消費者への訴求(マーケティング)も変える必要があるのは、お分かりいただけると思います。Web2.0は消費者への訴求を根底から変える可能性を秘めている気がします。

 次回は、Web2.0に関してのリスク、落とし穴を考えてみたいと思います。

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2006年09月11日 宿澤直正


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