仙台に向けて「システム開発におけるレビュー技法」の研修を配信しました。リモート研修の最中、仙台で地震が発生しました。
幸い大きなトラブルにはならず研修を続けられましたが、皆さんの落ち着いた対応には頭が下がる思いでした。

今回の研修で改めて強調したキーワードが「システム開発における見える化」です。
これまで多くのプロジェクトに関わってきた中で、「見えない」ことがプロジェクトにどれほど暗い影を落とすか、身をもって経験してきました。

特にプロジェクトにおけるプロセスレビュでは「見える化」が大切になります。「見えない」情報が多いからです。
プロジェクトで何かが「見えない」状態にあると、次のような問題が連鎖的に発生します。

まず、不安が増していきます。
情報が見えないことで疑心暗鬼に陥り、不安が不安を呼んで雪だるま式に大きくなっていき、そして悩む時間が増えていきます。

次に、人は自分の見える範囲だけで判断しようとします。
全体像が把握できないため判断に自信が持てず、「もっと良い方法があるのではないか」と悩み続けることになります。

さらに厄介なのが、前に考えたことを忘れて同じことを考え始める堂々巡りです。
記録が残っていないため、「いつか出口は見つかるのか」という不安とともに、同じ議論を何度も繰り返してしまうのです。

一方で、「見えない」から脱却して「見える化」を実現できれば、プロジェクトに安心の場を創ることができます。
目の前の霧やモヤを晴らすことで、チーム全体が安心して健全に前進する道を模索できるようになります。

ただし、ここで注意したいのは、自分の前の霧を晴らすための万人共通のヘッドライトや道路マップのようなものは存在しないということです。
自らの頭を捻り、手を動かして、自分や仲間の思考や状況を書き出す。そうやって努力することで初めて「見える」状態を作り出すことができます。

最近は、この「見える化」に生成AIが大きな役割を果たしています。
特にClaudeやNotebookLMを活用してプロジェクト状況や仕様内容を図解することで、チームメンバー間の理解が深まり、プロジェクト全体の安心感が高まります。

AIツールは単なる便利な道具ではなく、複雑な情報を整理し、視覚的に表現することで、チームの共通認識を形成する強力なパートナーになっています。
研修を通じて、改めて「見える化」の重要性を共有できたことは、私も貴重な学びの時間となりました。