新事業支援センターでのマネージャ相談でしたが、雑談の中で興味深いお話を伺いました。
「自分の言葉で苦しくなることがある」という相談者の方のお話です。

その言葉とは「やってあげたのに…」「してあげたのに…」でした。
自分自身も、ふと漏らしてしまうことがあるので気を付けている言葉です。しかし、この言葉には大きな危険性が潜んでいます。

逆にこの言葉で苦しくなるこの相談者は危険性に気付いているということです。
その理由について、3つの観点をメモしておきたいと思います。

一つ目の理由は、この言葉が見返りを求める言葉だからです。
相手を想って何かをした時、心のどこかで見返りを期待してしまうことがあります。しかし、それが無い時、どうしても不満や失望を感じてしまうものです。

ここで大切なのは「恩返し」ではなく「恩送り」という考え方です。
自分が受けた恩や親切は、その人に返すのではなく、別の人に送り続けていく。この循環こそが、健全な人間関係を築くと思っています。

二つ目は、この言葉が価値観を押し付ける言葉だからです。
「やってあげたのに」という言葉の背景には、「これは良いことだから、相手も喜ぶはずだ」という自分の価値観があります。

しかし、相手には相手の価値観があり、必ずしも自分の行為を歓迎するとは限りません。
自分と違う価値観を許せないという状態は、結果的に自分自身を窮屈にしてしまいます。多様性を受け入れることの大切さを、改めて感じさせられます。

三つ目、そして最も危険だと感じるのは、この言葉が恨みの言葉だからです。
恨みの言葉は、必ず自分に返ってきます。相手を恨む気持ちは、最終的に自分自身を闇に落とす可能性があると考えています。

日々の業務や人間関係の中で、つい口に出してしまいがちな「やってあげたのに…」「してあげたのに…」という言葉。
しかし、この言葉が持つ危険性を理解し、意識的に使わないようにすることで、より良い人間関係と心の平穏を保つことができると考えています。