先週の経営相談やIT相談で、改めて感じたことがあります。
相談の中で、例によって人生相談の領域に入っていくことは珍しくありません。そして先週も相談の最中に涙を流される方が何人もいらっしゃいました。

私は中小企業診断士であり、産業カウンセラーでもあります。
相談の流れの中で涙を流される方に出会うと、「この方の心を少し軽くできたのかも…」と、自分の存在意義を感じる瞬間があります。理由は三つあります。

ひとつ目は、その人が「ひとりじゃない」と感じてくれた実感です
涙がこぼれるほど本音を話してくれたということは、目の前の私を「安全な相手」と感じてくれた証でもあると思っています。

ずっと抱えてきたものを、ここなら出しても大丈夫だと思ってくれたこと。それが何より嬉しいのです。
ふたつ目は、止まっていた時間が、少し動き出した手応えです

涙と一緒に出てくる言葉には、長い間フタをしてきた感情や記憶が含まれています。
それが外に出た瞬間、「ここから何かが変わり始めるかもしれない」という小さな一歩に立ち会えた実感があります。

みっつ目は、「この人の人生の物語の中に、関わらせてもらえた」という感謝です
誰にも言えなかったことを話してもらえるのは、その人の大切な人生の一場面を一緒に過ごさせてもらっているということです。

その重みと信頼に対して、「この時間を丁寧に扱おう」と改めて身が引き締まると同時に、関わらせてもらえること自体への静かな喜びがあります。
涙を流してスッキリしてから、ビジネスの課題に向かい合えばよいわけです。

人はモヤっとして覚醒できないときには、なかなか前に進みにくいものです。
涙を流す、話してスッキリする、文句を言ってみる。いずれもその次につなげていければ、前向きな取り組みになります。

感情を出すことは弱さではなく、次へ進むための大切なプロセスなのだと、相談の現場で日々教えられています。
実は自分もとても涙もろいです。ワンコが頑張っている動画やアニメの主人公の言葉に共感していつも泣いてスッキリしています。