大阪のIT企業で「システム開発における生産性向上」研修をしました。
完全新規の研修でなんだかんだで、検討スタートから初回実施まで6カ月ぐらいかかりました。1回目が上手くいってホッとしています。
ソフトウェア開発での「生産性向上」への取り組みが必須課題であることは、誰もが理解しているはずです。
しかし、なかなか実践できていない現状があるのではないでしょうか。
それは、日々の業務に追われ、常に緊急性の高い対応を優先せざるを得ない状況にあるからです。
「生産性向上」に取り組まなくても、非効率な形ではあるものの、仕事は前に進みます。
その結果、「ずっと忙しい」「ずっと苦しい」という状態が続いてしまうのです。
緊急性ではなく重要性の高い「生産性向上」への取り組みについて、じっくり考える機会としました。生産性向上には、主に二つの視点があります。
一つ目は「付加価値を上げる取り組み」で、製品やサービスの質や機能を向上させることを目的とし、中長期的な効果が中心となります。
顧客満足度やプロジェクト品質、ソフトウェア品質などに焦点を当てます。
比較的大きな投資が必要で、組織開発やイノベーションが求められますが、潜在的には高い効果が期待できます。
具体的には、プロジェクトマネジメントの強化、ナレッジマネジメントの導入、顧客要求と向き合う姿勢、自分自身の技術力向上などが挙げられます。
二つ目は「業務を効率化する取り組み」で、同じ成果をより少ないリソースで達成することを目的とし、短期的な効果が得られやすいのが特徴です。
プロセス最適化、コスト削減、時間短縮などに焦点を当てます。
比較的小さい投資で既存プロセスの改善が可能で、予測しやすく確実性が高いのがメリットです。
具体的には、会議やレビューの効率化、文書作成の時間短縮、作業の仕組み化や自動化、運用や保守の効率化などが挙げられます。
どちらの視点にもメリットとデメリットがありバランスよく組み合わせることで、短期的な効率性と長期的な価値創造の両方を実現できます。
研修では、自分たちのプロジェクトにおける「問題・課題・対応策」をケーススタディとして取り上げました。
特に「対応策」を生産性向上の視点で検討しました。
また、ケーススタディでは、議論のヒントとして生成AIを活用したり、議論やアイデアの発想・収束技法を取り入れたりもしました。
現場の実体験を基に、具体的な改善策を考える時間は、参加者の皆さんにとっても楽しかったようです。
緊急性に追われがちな日々の中で、あえて立ち止まり、重要性の高い取り組みに目を向けることが持続可能な生産性向上につながると感じます。




