午前中は名古屋市支援センターでの相談、午後からはウィンクあいちで知財マネージャーとのコラボの生成AIセミナーでした。
テーマは「生成AI活用の攻めと守り」で生成AIにおける知財の話が聴けたのが役得です。
生成AI活用のリスク対策はますます重要になっています。
セミナーでは話せませんでしたが、知財以外でのリスクもメモをしておこうと思います。
ひとつ目が「確認すべき機密情報の扱い」です。顧客の個人情報や営業資料を、そのままAIに入力してしまうケースがあります。
しかし、社外の秘密情報や医療・金融等のセンシティブ情報は、無加工での投入を避けるべきです。
対策としては、データ種別ごとに持ち込み禁止の基準を明確にすることです。
機密情報投入禁止の社内ガイドライン策定や、投入前チェックリストの運用が有効です。
ふたつ目が「モデル学習への二次利用リスク」です。生成AIサービスで企業情報が学習データに使用されるリスクがあります。
報告書や情報が漏洩する可能性、判例や営業秘密など重要なモデル学習への二次利用には注意が必要です。
オプトアウト設定の確認や、企業向けプライベート環境の利用、オンプレミス型AIモデルの検討といった対策を行います。
利用規約の事前確認と法務チェックが重要になります。
みっつ目が「幻覚と誤情報への対処」です。存在しない法律を提示されたり、実在しない企業の取引実績を記載などがあります。
AI出力結果のファクトチェック体制や、重要文書は人間による最終確認、AI生成の明記などが求められます。
よっつ目が「人が自分で考えなくなる」です。これが最も根本的な課題です。
ある企業の方から興味深い相談がありました。「AIが便利すぎて、若手社員が自分で考える前に答えを求めてしまう」という内容でした。
これは技術的なリスクではありませんが、組織にとって深刻な問題です。
先日の図解作成でも感じましたが、AIに図を作らせると確かに早く美しい成果物が得られますが、その過程で「なぜこの構造なのか」が抜け落ちてしまいます。
このプロセスこそが人間の価値です。誰かに説明する時、自分の頭で整理する時、私たちは「考える過程」を共有することで理解を深めています。
AIの完成品だけでは、この重要な思考の積み重ねが失われてしまいます。
生成AIは便利なツールですが、これらのリスクを理解した上での活用が不可欠です。
導入前に社内体制を整え、継続的なチェック体制を構築し、なにより自分自身がAI活用リテラシーを高めることが大切になります。



