次年度に向けたIT企業向けの階層研修の企画に頭を捻っていました。
この研修は毎年、企業のニーズをヒアリングしたうえで完全オーダーメイドで組み立てています。
だからこそ、毎回「今年は何を軸にするか」を考える時間が一番長くなります。
今回たどり着いた研修タイトルは「システム開発の『見える化』実践ケーススタディ~あの時、何を『見える化』しておくべきだったのかを考える~」です。
システム開発は、ITトレンドの急激な変化、顧客の要求の高度化など様々な要因で情報が「見えない」状態に陥りがちです。
そして「見えない」状態のままだと、状況認識にズレが生じ様々なリスクが表面化してしまいます。これは現場で何度も目にしてきた光景です。
「見える化」の本質は、人の意思に関わらず事実や問題が「目に飛び込んでくる」状態を作り出すことにあります。
感覚的な報告に頼らなくなり、属人的な状況から脱却でき、責任範囲も明確になります。その結果、問題の早期発見と解決につながっていくわけです。
今年度もこれまでと同様に、過去のプロジェクト経験から学ぶことの重要性を踏まえた実践的なケーススタディを行います。
従来のケーススタディの進め方を踏襲しつつ、特に今年は検討の中で「あの時、何を『見える化』しておくべきだったのか」を洗い出すプロセスを加えます。
過去を振り返って「あの時こうしておけば」と考えることは、ともすると後悔に見えるかもしれません。
しかし、それを仕組みの問題として捉え直すことで、次のプロジェクトで使える具体的な武器に変わります。
今年の研修で特に意識しているのは、「見える化」の対象を幅広く捉えることです。
QCD(品質・コスト・納期)は当然として、それだけでは見落としてしまう領域があります。
今回は以下のような切り口で、何を「見える化」すればよいのかを受講者の皆さんに検討していただこうと考えています。
例えば「人」という切り口では、求められる業務知識や技術スキルの保有者率、プロジェクト間の兼務率です。
「コミュニケーション」では、要員ごとの会議出席率、各組織やチーム間にまたがる課題の数と解決期間、要員ごとの労働時間や報告書提出率。
そして「モチベーション」は数値化しにくい領域ですが、だからこそ「見えない」まま放置されやすく、プロジェクトの成否を左右する要因になり得ます。
もうひとつ、今年の研修で触れたいのが生成AIの活用です。
生成AIというとコード生成のイメージが強いかもしれませんが、実はマネジメントにおける情報の整理や分析、つまり「見える化」にも大きな力を発揮します。
散在する情報を構造化し、判断材料として使える形に変換してくれるのです。この点についても研修の中で説明を行う予定です。
毎年オーダーメイドで研修を設計していると、その年ごとに企業が直面している課題の変化が見えてきます。




