先週の支援で何度か活用した手法について、メモしておきたいと思います。
生成AIを活用したWebサイトやECサイトの改善支援についてです。

この手法の良いところは、短時間で比較的しっかりとした改善提案ができる点です。
実際に2時間程度あれば、かなり具体的な方向性まで整理できます。

まず、改善対象のECサイトのURLを生成AIに渡し、Deep Researchで改善ポイントを20個ほど出してもらいます。
ここで重要なのは、時間が許す限り複数の生成AIを使うことです。

先日の支援では、6つの生成AIを活用しました。
ChatGPT、Gemini、Claude、Perplexity、Genspark、Feloです。時間の関係でGrokとCopilotは使えませんでしたが、それでも十分な成果が得られました。

各生成AIに「優先順位の高いものから問題点、改善点、その理由、具体的対策を表形式でまとめて」と依頼すると、改善リストがずらっと揃います。
それぞれ単体でもかなり精度が高いのですが、多面的な意見を収集することで、より包括的な改善提案になります。

次に、それぞれのリストを支援先の事情に合わせてマーカーで色分けします。
「すぐできること」「時間がかかること」「ルールを決めればできること」「経営的な決定が必要なこと」「いったん見送ること」などの視点で分類していきます。

この色分けによって、各生成AIが指摘している共通点やレアな回答などが明確に確認できます。
この分類作業は生成AIでもできますが、支援先の具体的な事情を考慮すると、人間が行った方が精度が高いと感じています。

さらに、出てきた内容をフレームワークにプロットしていきます。
今回はECサイトでしたので、最近あまり聞かなくなったAIDASを活用しました。これも生成AIより人間の判断の方がまだ精度が高いと感じます。

AIDASとは消費者の購買行動を示すフレームワークの一つです。
「Attention(SEOなど集客)」「Interest(第一印象)」「Desire(提案・納得)」「Action(購入決定)」「Satisfaction(リピート)」の5段階で改善点を整理していきます。

このように整理すると、生成AIが出してきた多数のアイデアを、支援先と一緒に優先順位を確認しながら落とし込めるため、納得性も高くなります。
改善の方向性をビジネス的なものと技術的なものに分けると、やるべきことがかなり整理され、実行計画も立てやすくなります。

この手法はECサイトの改善だけでなく、事業計画のブラッシュアップ、SNSコンテンツの見直し、チラシの改善などにも応用できます。
支援の場では「使えるところ」に生成AIを使うのではなく、生成AIの活用を前提にメソッドを組んだ方が精度が向上すると感じています。

ただし、最終的には人間の力が必要です。支援先の事情や経営者の価値観で言語化しにくい部分は、生成AIにうまく伝えられないからです。
生成AIの力を借りながらも、最終的な判断は人間が行う。このバランスが、効果的な支援につながると実感しています。