新事業支援センターでのマネージャー業務でした。
今年の自分のテーマのひとつともいえる生産性向上に関する取り組みにむけての相談がありました。

プロジェクトの目標を「利益」にした結果、確かに利益は向上したそうです。
しかし、その過程で会社を強くする取り組みがおろそかになってしまった…という話でした。

生産性向上は、二つの軸で考えることができます。
一つは「付加価値を上げる取り組み」、もう一つは「業務を効率化する取り組み」で、生産性=付加価値÷作業量と考えれば当然のことです。

今回の相談は長期的視点の「付加価値向上」と短期的視点の「業務効率化」の関係性を考える上で、とても重要な問題です。
「利益」を上げることが目的になった場合、予測しやすく確実性の高い短期的な「業務効率化」に注力してしまいます。

投資額も比較的小さく、既存プロセスの改善で済むからで、例えば、会議の効率化、文書作成の時間短縮などが挙げられます。
確かに短期的な効果は得られやすいのです。

しかし、その際に会社の体質改善などの長期的な付加価値向上の視点がおろそかになる場合があります。
例えば、マネジメントの強化、ナレッジの共有、リスクマネジメント、顧客要求に向き合う姿勢、自分自身の技術向上などです。

これらはすぐには成果が出にくいため、ついつい後回しになってしまいます。
また、潜在的に投資効果は高いのは理解されていても、不確実性も高いため、優先順位が下がってしまうのです。

生産性向上を進める際には、短期的な利益と長期的な体質改善のバランスを見る必要があります。
特に人材に関する部分は短期的ではどうにもならないことが多く、長期的な視点で捉えることが大切だと感じます。

生産性向上を考える時、目先の効果だけでなく、組織の持続的な成長を見据えた取り組みのバランスを常に意識していきたいものです。
「わかるのだけど。どうアプローチする?」とよく言われる生産性向上を進めるヒントのひとつだと思います。